ドラマトリックの出演者
仲間由紀恵さん(山田奈緒子)
今時の芸能人にしては珍しく品があり、落ち着き、可愛らしさもあり、どんなにCMで見かけようとも全く不愉快にならない。インタビュ
ーでも言葉を選び丁寧に話をしている。敬語も単なる「ですます」の丁寧語だけでなく、謙譲語も使っているのが素敵である。常に好感
度が高く、公的な仕事やお堅い仕事(確定申告、JA、省エネ)で重宝されるのも納得である。
仕事のスタンスについても同じである。普通、仲間さん程の大物になると、格好のいい役ばかり選ぶ傾向にあり、演じるという事を忘
れてしまっている美人女優をよく見かける。それはもはや“美人女優”ではなく、単なる“美人”である。その点、仲間さんは「新作SP」の
水に頭まで浸かっての演技等、体当たりな演技も多く、中々芽が出なかった為かもしれないが、初心を忘れない素晴らしい女優さんだ
と思う。
最近では、『SHINOBI』、『功名が辻』、『大奥』と時代劇ばかりであるが、これは今を時めく女優さんの中で仲間さん程、正統派で古風
な日本人女性にピッタリな女優さんが、他にいないからに違いない。
阿部寛さん(上田次郎)
だいぶ前に、ひげ剃りか目薬などのCMに出ていて私の母が目を付けていた。当時はドラマでも見かけた事がなく、CM専用の
モデルさんなのかと思っていた。まさかこんなにも見かけるようになるなんて…。
体が大きいのに顔が小さく素直にカッコいいと思う。今、芸能界には美形だが弱々しい男性芸能人が溢れている。その中で男らし
さを兼ね備えた希少な存在である。知性もあり、お堅い役(先生役や弁護士役)もマッチしているが、何より上田次郎のような、柔らか
な演技が必要なキャラもこなせてしまうのだから、圧巻である。本来なら地味である銀縁メガネも見事に似合っており、ベストドレッサ
ー賞をもらうべきである。
おそらく上田次郎を演じるのは阿部さんにしか不可能であろう。阿部さんは、「一見頭が良く、しかしどことなく抜けている」という上
田の特徴を、誰よりも理解しているのではないだろうか。さらに阿部さんの長身が、「でかいのに臆病者」という上田のギャップを引き
立たせているのは間違いない。その上、もはやお馴染みの柱に頭をぶつけるギャグは、他の背の低い俳優が演じていたら、存在し
なかったギャグである。
阿部さんは今まで共演者との身長差などで、背が高いのを不利に感じていたようであるが、TRICKではその長身が、初めてプラス
に働いたのではないだろうか?他にも、普通なら不自然な「YOU」という呼び方も、私達TRICKファンにとっては全く抵抗がない。これも
阿部さんだけがなせるワザではなかろうか?
生瀬勝久さん(矢部謙三)
生瀬さんの柔らかな演技、滑舌の良さは群を抜いている。矢部のズラネタは、貧乳巨根ネタとは違い、毎回村民などに指摘される
というお決まりのパターンになってしまっているが、それでもやはり表情の豊かさのせいであろうか、笑わずにはいられないのである。
見れば見る程、本当に表現力の豊かな俳優さんだと思う。
前原一輝さん(石原達也)
私は特撮好きなので『ギンガマン』はリアルタイムで見ていた。TRICKで石原が好きになってから“リョウマ”である事を知った。あの
僕らのヒーロー“リョウマ”が何故?と思ったが、「2」での石原の存在はあまりにも大きかった。
やはり石原が今でも人気があるのは、前原さんが特撮戦隊モノ出身だけあって、普通ならばスタントを使いそうな体を張った演技を、
石原本人がやったからであろう。「遠隔殺人」での矢部の回し蹴り後のぶっ飛び、「サイトレ」での階段ゴケ、「お告げ者」でのダイブなど
がそうである。まさに、これこそが前原さんだけが成せるワザであり、石原の絶大な人気の秘密ではなかろうか。
姜暢雄さん(菊池愛介)
「3」での滑舌の悪さはかなり指摘されていた。確かに、生瀬さんと同時に同じ台詞を喋るシーンでは、生瀬さんに釣られていた。しかし
新作SPでは、その滑舌の悪さが改善されているではないか。菊池の最後の出演シーン、矢部に殴られる直前での菊池は、キャリア全
開であり、彼の最良の演技だったと思う。
池田鉄洋さん(秋葉原人)
「新作SP」で奈緒子に「萌え〜」と言うのを見て、正直言って、好きになれなかった。しかし、「劇場版2」の番宣や、Qさま(2006年6月8日
放送)、超いたずらマジック(2006年6月11日放送)での素の池田さんが、より早くTRICKメンバーに溶け込もうと努力しているのは、非
常に印象的だった。
野際陽子さん(山田里見)
「1」ではシリアスな演技、「3」での笑いの演技と、演技の振れ幅の大きなベテランである。「1」の頃から年を取ってない気がする位、
今でも依然お若い。番宣などでも、すっかり里見になっている時があるのが非常に微笑ましい。
大島蓉子さん(池田ハル)
まずTRICKが始まったら、この人に笑わされる事は覚悟しなければならない。方言が非常にお上手であり、「お告げ者」と「言霊」での
喋りは目を見張るものがある。
堤幸彦監督
仲間さんを開花させ、阿部さんの魅力を広げた、普通の人とは見る目の違う方である。
「劇場版」や「新作SP」などでの堤監督のやむ落ち解説がいらない、という声もよく聞くが、私は大歓迎である。無論、仲間さんや阿部さん
の座談会は別売りでも見たいと思う。だが、仲間さん阿部さんは現在忙しく、参加できないのであろう。何よりファンとしては、堤監督を通して
貴重な製作サイドの話を聞けるのは嬉しい事だと思う。