『ガダラの豚』との相違
『ガダラの豚』(中島らも著)とTRICKは酷似している。作品の発表は『ガダラの豚』が1993年で先ではあるが、それ以前に、蒔田氏や
堤監督の頭の中に構想があったのかもしれない。もしかしたら、TRICK製作サイドは『ガダラの豚』を知らないのかもしれないし、 インス
パイアされたのかもしれない。ここではその相違点と共通点を挙げる。
共通点
・ 教授がマジシャンを引き連れ、インチキ教団を暴く
・ ワン・アヘッド・システムが出てくる
・ 空中浮遊が出てきて、そのトリックは機械などの仕掛けによるもの
・ 千里眼の回で、大木凡人が教えていた数字当てのトリックが出てくる
(『ガダラの豚』では“1”が「では」、“2”が「それでは」、“3”が「すぐ」、“4”が「いますぐ」)
・何故か突然、教団幹部との格闘シーンになる(『ガダラの豚』では少林寺拳法)
・マネージャー(「母の泉」の津村、『ガダラの豚』の福田)が、教祖(「母の泉」の霧島澄子、『ガダラの豚』の心玉尊師)
と同等以上の役割を持っている
相違点(ある意味で類似点)
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TRICK |
ガダラの豚 |
上田にあたる人物の職業 |
物理学者 |
民族学者 |
〃 著書 |
「どんと来い、超常現象」 |
「呪術パワー・念で殺す」 |
奈緒子にあたる人物の名前 |
山田奈緒子 |
ミスター・ミラクル |
教団に行く目的(救出対象) |
教団に心酔した学長の娘 |
教団に心酔した自分の妻 |
マジシャンの信念 |
「全ての奇跡は奇術で説明できる」 |
「超能力が存在しないとは言わないが、トリックで説明できない現象は古今東西一つもない」 |
「教授がマジシャンを連れ、インチキ教団に立ち向かう」、そして、「ミラクル」という言葉がTRICKファンの心を掴んで離さない。さら
には、『ガダラの豚』のある一節に、「多くの場合、不幸は知ることによってもたらされる」とある。これは、「母の泉」「お告げ者」や「千
里眼」「老人ホーム」の重く、そしてダークなエンディングに共通するものと言えるであろう。
私としてはTRICKのネタ元が『ガダラの豚』であろうが、そうでなかろうが一切関係ないが、とにかく『ガダラの豚』を読んでもらいたい
のである。何よりTRICKファンであるなら、『ガダラの豚』は非常にスムーズに読む事ができる。文庫本では3冊から成っており、そのう
ち1冊目でTRICK編は終りという形で、1時間もかからない。1冊目だけでも機会があれば、是非一度目を通してみてはいかがだろうか?