アダムとイヴ
TRICKには、『完全マニュアル』の表紙、「1」DVDパッケージの裏面や映像と、何故か“リンゴ”が多用されている。それも、“腐りかけの
リンゴ”である場合が多い。これだけ多用されているという事は、“リンゴ”にもやはり、オープニングの“卵”同様に重要な意味があるので
はないだろうか?
そもそも“リンゴ”、“男女二人の物語”とくれば、『アダムとイヴ』を思い出す。『アダムとイヴ』は禁断の果実を食べ、突然に羞恥心、つ
まり、“自我”が芽生えたという物語であり、その“禁断の果実”のイメージには一般的に“リンゴ”が認識されている。
この“何かがきっかけで、自分の中の何かが目覚める”という、いわゆる“覚醒”はTRICKにも当てはまる。奈緒子は霊能力者を無邪気
にも追いかけていたが、気付けば自分こそが“霊能力者”になっていたのである。
これは以前の雑談、『最後の審判(TRICKという名の悪戯)』でも書いた、“最後の審判” “TRICK”の趣旨とも一致する。この事からも分
かるように、やはり当初は“奈緒子は霊能力者だった”という結末だったのではなかろうか。