『ケイゾク』とTRICK
両作品とも、“多少のコミカルを含んだ推理モノ、しかしダークな部分もある”という共通点がある。特に「TRICK1」独特のダークで重い
世界観は『ケイゾク』に似ている。具体的には、「黒門島」の『月光』をバックにしたアナアキーの儀式のシーンの映像などは、堤監督お得
意の演出である。他にもオープニングの卵割れシーンや、CM直前直後の映像、タイトルバックもそうである。これらの鳥肌の立つ程の奇
妙な映像は非常に『ケイゾク』とよく似ている。ちなみに、『ケイゾク』でも生瀬さんは刑事役である。
似ているのは映像だけではない。『ケイゾク』の主人公、柴田純は「頭が臭い」と言われる。もしかしたら、奈緒子でも同じようなセリフ
があったのかもしれない。奈緒子も柴田も変人なのである。そして、忘れてはならないのが、“マフラー”である。奈緒子は“赤い”マフラー
がトレードマークになっているが、柴田の方は“青い”マフラーである。この事からも、『ケイゾク』からTRICKが生まれたのは確かのようだ 。
最後に、両作品の主人公を演じている仲間さん、中谷さんはそれぞれ、“5代目きれいなおねえさん”“4代目きれいなおねえさん”であ
る事を付け加えておく。ちなみに、“きれおね”に選ばれたのは『TRICK』後、『ケイゾク』後である。今後も堤監督の目の付け所に注目す
べきであろう。